ステンレスのロウ付けに挑戦

我が家で長年使ってきた包丁が、根元から折れてしまいました。

柄の中で錆びてしまっていたので、防ぎようがないですね。

長年使ってきた愛着のある包丁なので、捨ててしまうのには躊躇してしまいます。
何とかならないかなってことで、修理することにしました。

刃先はまだまだ良く切れて問題無いので、柄の部分に錆び難いステンレス鋼材を継ぎ足します。

最初は、溶接で柄の部分を継足すことを考えましたが、DIYでやるには溶接設備を用意するのがちょっと無理!

溶接に変わる方法を調べると、溶接よりは強度が劣るけどロウ付けならDIYでも出来そうってことで、素人ながら、勢いでステンレスのロウ付けに挑戦です。



そもそもロウ付けって何?

原理は、はんだ付けと同じだけど、母材を高温にすることでより金属同士が密着した状態ではんだ(ロウ)を隙間に流し込むことができます。上手く行けばかなり強力に接着します。

素人には難しいって知恵袋的なところにコメントもあるけど、
なんとかなるでしょ!
って、材料を準備です。

ロウ付けの準備

折れた柄の部分の代わりにホームセンターで買ってきたステンレスの金具をロウ付けで取り付けます。

包丁とステンレス部材の接着部分を削って密着するように平らにしました。
上の写真のように付けたい。

ロウ付けにはステンレス用のロウ(はんだ)とガスバーナーを使います。
2000℃まで加熱出来る強力なガストーチを購入しました。


それから、作業は溶接用の革手袋を着けて行います。


ロウ付けの方法

作業の流れを確認
1 部材の接合部分を軽くヤスリがけする。

2 部材同士が接着するように固定する。

3 部材の接合部にフラックスを塗る。

4 部材をバナーで炙り、フラックスが蒸発し始めたらロウ材を付け、ロウ材が溶けて流れるまで加熱する。

5 ロウ材が流れて隙間に浸透したら加熱をやめて、冷めて固まって来たらブラシ擦りながら洗いフラックスを除去する。


文字で読むと簡単に出来そうでしょ。
でもこれが難しい。



何度も何度もやり直して、だんだんコツを掴んできました。

一番難しいのが、ロウが流れないこと。
ロウ材を差し込むタイミングが早すぎても遅すぎても上手くいきません。

加えて、2つの部材が同じタイミングでロウを差し込むのに適した状態に加熱する必要があるのですが、容量の大きい包丁側は加熱に少し時間が掛かり柄のステンレス材料は薄いので一瞬で真っ赤に加熱されます。

何度も試して偶然上手くいきました。ってのが本音。
冷めるまでじっと待ちます。ここで動かしたら、まだ固まっていないので簡単に外れます。

冷めて完全に固まったところで、ブロックをコンコンと叩いて、接着具合の強度試験。

ポロって簡単に外れました。
( ̄□ ̄;)!!


諦め切れないので、接合の形状を変えて再挑戦です。

最初は「突合」という合わせかたで、接着する面積が小さくて強度は劣ります。

次にやるのは「スカーフ」という合わせかたで、接着面積が大きくなり強度がでます。


簡単に図を書くと、左が「突合」、右が「スカーフ」

接合させる部分を削って、合わせをスカーフにして、ロウ付けに再挑戦。

これがまた、上手くロウが流れなくて難しい。

何度もやり直し何とかロウが流れていきました。
包丁が黒焦げですが、研げば綺麗になるから大丈夫。
全体を軽く研いで、接着しているか確認。
今度は、ブロックに叩き付けてもびくともしません。
強力に接着しています。

うまくロウ付けが出来たようです。

包丁に木製の柄を取り付けます。
木製の柄には差込穴が切ってあり、ここに差し込むだけですが、簡単にははまらないので、包丁を万力で固定し、柄を金槌でコンコン叩いて少しずつはめていきます。

固くてなかなか入らないので、金槌で叩く力が強くなりステンレスが曲がってしまいました。

曲がるほど叩いても、ロウ付けした箇所が破断することはなかったです。

ステンレスの曲げ強度よりもロウ付けの破断強度の方が高いようです。

ロウ付けなかなかの強度ですね。

何とか完成?
柄の付方に少し違和感が、、、実は、木製の柄を上下間違えてはめてしまった。
( ̄▽ ̄;)


ちなみに、包丁全体を研いで表面の酸化膜が無くなったため、直ぐに錆びがでます。

包丁の錆びは、クレンザーを付けてアクリルたわしで磨くと落とすことができます。
「錆びる→クレンザーで磨く」を何度か繰り返していると、包丁の表面の酸化膜が安定して錆び難くなってきます。

磨いてピカピカになったら、包丁の裏に「平成元年」の文字が出てきました。
平成の最後に平成の最初の年に作られた包丁を直して、新しい時代(令和)を迎える。
語彙力無くて上手い言葉が出てきませんが、道具を直して大事に長く使うのも良いものです。

ロウ付けに使用した物

ロウ付けに必ず必要になるのがガスバナー(トーチ)です。
ハンドタイプのガスバナーではこれが最強!


新富士バーナー、業務用で2000℃まで加熱できます。
専用のカセットボンベしか取り付け出来ないのが注意点ですが、その代わり他を圧倒する火力を実現しています。


今回使用したロウ(はんだ)はステンレス用です。ステンレス用の方が強度が高いです。初心者には、フラックスとセットになった商品が安心です。


異種金属をロウ付けするなら、銀ロウがおすすめ!銀が入っているので少し高いですが、いろいろな金属と相性が良くて扱い易いです。
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