プリウス(30系)を10年12万キロ乗ったので長期使用インプレしてみる

30系プリウスを新車購入してから10年12万キロ乗った今だから分かる長期使用インプレです。

3代目となる30系プリウスは、爆発的に売れた車両ですので、中古車市場でも数が多く、これから中古プリウスの購入を検討している方の参考になれば。



プリウス(30系)の基礎情報

1997年に初代プリウスNHW10が発売。
2003年に2代目プリウスNHW20が発売。
2009年に3代目プリウスZVW30が発売。
2015年に4代目プリウスZVW50が発売。

途中マイナーチェンジもあるものも、6年毎にモデルチェンジをしているプリウス。
5代目は、2021年発売予想です。(執筆時の予想はハズレました。)

私が保有しているのは3代目プリウスZVW30、通称30系プリウスです。

2代目までは、排気量1500ccで車体サイズも5ナンバーサイズに収まっていましたが、3代目から1800ccに排気量がアップし、車体の幅も少し広がり3ナンバーサイズとなっています。

1800ccで5ナンバーではなく3ナンバーサイズになるのには違和感がありますが、これは、3代目プリウスからは日本基準で作られていないため。世界販売戦略でこの車体サイズとなっています。
(狙いどおり、世界中で売れました。)

グレード

プリウスZVW30のグレードは、G、S、Lの3段階とGとSにはツーリングセレクションという設定が用意されています。

Gが上位グレード、Sが一番売れた中間グレード、Lは余分な装備を排除した下位グレードですが、軽量化され燃費が一番良い。

燃費の良さで選ぶならLグレードですが、防音材が少ないのか、GとSグレードに比べて車内のロードノイズが大きいです。ドアを閉めた時も"パンッ"て感じの安っぽい音でグレードの違いを感じます。

GとSにはツーリングセレクションというグレードもあり、大きな違いはタイヤが標準の15インチから17インチに換装されています。

その他にもLED特別エディションや前期と後期の違いなど販売時期により装備が異なります。

諸元

●サイズ:全長4,460×幅1,745×高1,490mm
●重量:Lグレード1,310kg、G,Sグレード1,490kg
●エンジン:2ZR-FXE型 1.8L 直4 DOHC
●出力:エンジン73kW (99PS) /5,200rpm、
         モーター60kW (82PS)
●システム出力:136PS
●トルク:エンジン142N·m (14.5kgf·m) /4,000rpm
            モーター207N·m (21.1kgf·m)

システム出力とは、エンジンとモーターを同時駆動したときの出力です。つまりは、30系プリウスの最高出力は、136PSとなります。

注目してほしいのは、モータートルク。エンジンは、低回転ではトルクも出力も低いですが、モーターは低速から高トルクを発揮します。この特性により、モーターのみで走り出し、加速中にエンジンがかかるというのがプリウスの特徴です。

ちなみに、プリウスにはガソリン車には必須のセルモーター(エンジンをかけるためのモーター)が付いていません。トルクフルな駆動モーターの動力を使ってエンジンをかけます。


30系プリウスの長期使用インプレ

先進的な車発売から10年以上経過し普通の車へ

プリウスは、トヨタが先進技術を導入して市場に送り出してきた車種です。

環境問題に感心が高まる中で販売された30型プリウスは、環境に優しい先進的な車のかたちを実現し、広く受け入れられ爆発的に売れました。

先進的なイメージをコンセプトに持つプリウスですが、販売開始から10年を越える30型プリウスは、ハイブリッド車が増えた今では特別先進的な車でもなく、極一般的な大衆車に変わったというのが正直なところでしょうか。

30系プリウスと現在の車を比べれば、自動ブレーキシステムが付いていないなど、先進技術で既に追い抜かれているのは致し方ないところです。

乗り心地も普通の大衆車

高級車の様な上質な乗り心地とは言えませんが、大衆車のカテゴリーの中では、静かなエンジン音で乗り心地の良い部類だと思います。

エンジン音が静かなためロードノイズが気になります。
同クラスの車両と比べれば静かですが、ワンランク上の車に比べると、防音材が少ないのかなと思います。

10年12万キロ以上走った今でも、足回りはへたった感じは無く、通常の運転では、路面の凹凸はしっかり吸収して突き上げる感じや、ショックアブソーバが効かないフワフワとした感じはありません。

一昔前の車なら10万キロで足回りがへたってしまうのは当たり前でしたが、最近の車はまったく問題ありません。

走りは4モード

標準のドライブモードの他に、パワーモード、エコモード、EVモードに切り替える事ができます。

・標準モード
私は基本的には標準モードで運転しています。特別なシーン以外は標準モードでカバー出来ます。

・PWR
パワーモードは、標準モードに比べてアクセルの踏み込みに対する加速が良いです。

加速したい時にアクセル開度が少しですむので、高速道路に合流する時や勾配のきつい登り坂では、パワーモードの方が、楽に運転出来ます。

ちなみに、私のプリウスは、パワーモードでアクセルベタ踏みするとゴムが焼けた様な臭いがします。
(これは、ヤバいやつ。)

・ECO
エコモードは、アクセルの踏み込みに対する加速が緩やかになります。

私は、ほぼエコモードは使いません。標準モードでもアクセルを踏み込み過ぎなければ、エコモードと燃費は変わりません。

エコモードでは、エアコンの冷房や暖房の効きが少し弱くなり省電力になります。車の中で奥さん待ってる時などエアコンを切りたくない気候の場合は、エコモードにしています。

・EV
EVモード中は、エンジンは掛からずにモーターのみで走行できます。ただし、充電量が少なかったり、システムが低温のとき、または速度が出ているときは、強制解除されエンジンがかかります。

EVモードは、ガソリンを全く使わないので、うまく使うと燃費がすごく良くなります。

が、しかし、

使いすぎてバッテリー残量が減ると充電の為にエンジンが掛かるという燃費に悪い状態に陥ります。

また、EVモードで出力をあげると、駆動バッテリーからの放出電流も大きくなり負荷がかかる為に、駆動バッテリーの寿命が短くなります。

EVモードは、多用は禁物。

クラスを超えた走り

同じ1.8リッターのファミリーカーと比較すると、モーターの力が加算される分良い加速ができます。
発売当初の記事では、2.2リッタークラスの走りと称されていました。

ちなみに、システム出力(最高馬力)は、新型の50系122PSよりも30系136PSの方が上で、歴代プリウスの中でも30系が最も高出力となっています。

空気抵抗がほかの車より低いため、高速道路の運転は楽と感じます。

タイトなコーナーでは、車体がロールし軋む感覚があり、私のSツーリングであってもスポーツ走行は向いていません。

特にリアサスの作りはコストカットを感じます。リアサスを交換すれば良くなるかなと思うことがあります。

予算があれば、ビルシュタインに交換してみたいなと思ってます。
そもそもスポーツ走行する車種ではないため、コーナリングはこれが普通かとは思います。

車体剛性ではTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用した4代目プリウスに劣ります。

私のプリウスはSツーリングと言うグレードで、17インチタイヤにインチアップしたグレードです。

17インチタイヤだと少しコツコツ感じる事があります。気になる程ではありませんが、乗り心地重視なら標準の15インチタイヤの方がおすすめです。

燃費は◎

燃費が良いと言うのがプリウスの最大(と言うか唯一)の満足している点です。

走行ルートや交通状況、運転の仕方や外気温によって燃費は大きく左右されますが、私の場合は、リッターあたり20キロを下回ることはありません。

ちなみに、総走行距離10万キロに達した頃に燃費が悪くなり、スパークプラグを交換したら、10%程燃費が改善した(通常に戻った)事がありました。

総走行距離10万キロを越えたらスパークプラグ交換をおすすめします。
スパークプラグのメーカー推奨交換時期は20万キロですので、10万キロ程度では交換されていない場合が多いかと思います。

ちなみに、10年12万キロ走った私のプリウスの今の平均燃費は、1リッターあたり
春秋は23~24キロ
夏は22~23キロ
冬は21~22キロ

ハイブリッド車は、非ハイブリッド車との車体価格差が20万円程度出ますが、この燃費で12万キロ走行なら差額は十分回収出来た計算になります。

10年間、故障無し

さすが天下のトヨタが作り込んだ車です。リコールは何度かありましたが、壊れないという基本性能は高いです。

故障ではないですが、故障に繋がる前にと、リアブレーキディスクの錆が酷くて8年目に交換しました。

リアブレーキディスクが錆びやすいのにはプリウス特有の原因があります。

プリウスはリアに回生ブレーキと言う充電のための機構が付いており、ブレーキ時は、まず回生ブレーキの抵抗で減速し、更に踏み込むとディスクブレーキが作動します。

プリウスオーナーとしては、なるべく燃費を伸ばしたいので、ブレーキを強く踏みすぎない様にし、回生ブレーキで速度エネルギーを充電に回します。

通常は、車を動かしていればブレーキディスクとブレーキパッドは擦れ合い磨耗し錆びも落とされますが、逆に使わないとどんどん錆びていきます。

リアのディスクブレーキの出番が少ないプリウスは、リアディスクブレーキが錆びやすい。

プリウスの中古車選びをする際は、リアブレーキ周りの錆びを要チェックです。

交換が必要なパーツ

シガーソケットを増設
30系プリウスのシガーソケットはコンソールボックスの奥にあり使い勝手が悪いため、ドライブレコーダーの電源をとるためにシガーソケットを増設しました。
シガーソケットを自分で増設した記事はこちらです。

スマホの充電などでシガーソケットから電源を取る方はソケットの増設は必須になります。


タイヤを7年目に交換
冬には雪の降る地域のためスタッドレスタイヤとラジアルタイヤを季節で履き替えています。

交換までの使用距離としては、ラジアルタイヤ5万キロ、スタッドレス3万キロ位でしょうか。タイヤの溝はまだまだ大丈夫でしたが、年数が経ったタイヤは交換した方が安全です。

タイヤ代はかなりの出費になりますので中古車を買うときは、タイヤの年式をチェックすることをおすすめします。

補機バッテリーを8年目に交換
バッテリーあがりで交換して、これまで一度も交換していなかったことに気付きました。

鉛バッテリーは長くもっても5年という認識でしたが、エンジンスタートにセルモーターを使わないプリウスは、補機バッテリーに大電流が流れる事がないので長持ちするようです。

ハイブリッド車の補機バッテリー(鉛バッテリー)は、交換費用が割高ですが、自分で交換すれば半額。
補機バッテリーを自分で交換した記事はこちらです。

リアブレーキディスクを8年目に交換
錆びが酷くてブレーキディスクを自分で交換した記事はこちらです。

スパークプラグを10万キロで交換
スパークプラグを自分で交換した記事はこちらです。

燃費が悪いなと思ったらスパークプラグを交換してみるのも良いと思います。


満足している点

燃費
なんと言っても燃費の良さは、他車と比べて最大のアドバンテージです。

最初の半年くらいは、ハイブリッドの運転が楽しくて、用事も無いのに明け方からドライブして自己最高燃費32.2キロを出して喜んでいました。

残念ながら、10年経った今では、駆動バッテリーの能力が落ちているため、燃費30キロを超えるのはムリです。

とはいえ、今でも交通条件が良ければ燃費25キロ以上はでますし、どんな運転をしても20キロを下回る事はないので燃費の良さはハイブリッド車の良いところです。

セルモーターがない
一般のアイドリングストップ車のエンジンがかかる時にセルを回す大きな音が苦手です。鈍感な私でもびっくりする。

一方、プリウスはセルモーターがなく、モーターで走り出しながら静かにエンジンがかかります。鈍感な私はいつエンジンがかかったかも分からない程滑らかに移行します。


情報とパーツの多さ
ユーザーが多いため、必然と情報も多く、また専用パーツの販売も多いため、調べれば自分で出来てしまいます。

私の場合は、クルーズドコントロールやドアロック連動ドアミラー格納回路をネットの情報を元に自分で取り付けました。メーカーオプションで取り付けるのにくらべると3分の1程の費用です。

クルコンを後付けするなら。


ドアロック連動ドアミラー格納回路を後付けするなら。


平均的には優れている
燃費以外は、突出して凄いと思わせる性能は無いですが、1.8リッターエンジン+モーターによりそこそこ加速も良く、ハッチバックでそこそこ荷物も乗せれて、維持費もそこそこで、トータルバランスでは優れた車だと思います。

世界中でこの車が売れたのは分かる。


不満な点

フロントガラスが近い
座高の高い残念な私には、車内の天井の低さが不満な点です。特に、私の場合はフロントガラスとルームミラーによく頭をぶつけます。
空気抵抗を減らすために前方の傾斜が独特なため、思ったよりもフロントガラスが近くにあるので注意です。

雪道に弱い
雪道の他の車が通った後を走っても、プリウスの車高が低いためにお腹がつかえて立ち往生したことが何度かあります。
また、良く効くトラクションコントロールのお陰で、スリップするとタイヤが回らない。
安全には良いのでしょうが、前後に少しずつでも動かしてスタックから抜け出そうとするときには、トラクションコントロールをオフにしたいけど出来ないのが残念なところです。

雪の積もる地域でプリウスを買うなら55系プリウス(4WD)をおすすめします。

普通過ぎる
発売当初は最先端のハイブリッドカーでしたが、今となってはもはやありふれた車。
ユーザーが多いことは、共有出来る情報があり、パーツも豊富、保守部品にも困る事はなく良いことですが、不思議なもので普通すぎると退屈な車と感じてしまいます。

駆動バッテリーの交換が恐ろしく高い
プリウスには、モーター駆動用のバッテリー(駆動バッテリー)とACC電源系のバッテリー(補機バッテリー)の2種類のバッテリーが搭載されています。

補機バッテリーは、ガソリン車にも載っている鉛バッテリーと基本構造は同じもの。(ハイブリッド用で少しだけ割高ですが。)

駆動バッテリーは、30系プリウスの場合はニッケル水素電池となりますが、これを交換するとなると20万円~かかります。

駆動バッテリーの耐用年月は10年なんて言われていますが、10年以上前に生産終了した20系プリウスでも交換せずに走っている車体がほとんどです。

交換した方の情報を見ると、平均的には走行距離20万キロで交換している様に伺えます。
乗り方や個体差でも交換時期は変わるでしょうから、一概は言えませんが、20万キロがひとつの目安です。

いつ来るか分からない駆動バッテリーがダメになる日を考えると、その時に20万円かけて交換するか、それとも車を買い換えるか、どちらの選択になるか考えておく必要があります。


30系プリウスはこんな人におすすめ

車で長い距離を走る方にはおすすめです。 一方で、ちょい乗りが多いと、燃費が普通のガソリン車と変わらないため、移動距離が短い方はハイブリッド車を選択する必要は無いかなと思います。

現行のプリウスは高過ぎるが中古車なら価格が見合うと言う方には、一世代前の30系プリウスは良い選択だと思います。
ただし、走行距離20万キロに近い様な車両は、駆動バッテリーの交換が必要な可能性がありますので、手を出さない方が賢明です。

自分なら

私のプリウスも10年が経過し、次の11年目の車検を通して乗り続けるか?それとも買い換えるか?悩むところです。

30系プリウスのネガティブな部分も書きましたが、実際はとても良い車だと思っています。

駆動バッテリーの交換が必要になるまでは、まだ乗り続けるのが賢い選択かなと思います。
目指せ総走行距離20万キロまでです。


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3 件のコメント :

  1. 自分も30に乗ってますが、現在7年を超えオドメータは24万キロオバーで補器バッテリーも未だ無交換で元気に走ってます。燃費は標準の195-15/65タイヤの時は30km/Lを超えてましたが、215-17/45タイヤ(エコタイヤでは無い)に交換してからは、春~秋25km/L超える程度で冬場は暖房の為にエンジンが起動しますので、23km/L程度に落ちます。補器バッテリーはそろそろ交換した方が良いかな?と思ってますが、メインバッテリーはまだまだ問題ない様でこのまま30万キロを目指したいですね。スタイル的にも歴代プリウスの中で一番気に入ってます。

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    1. 良い情報ありがとうございます。

      駆動バッテリーの交換が気になり出した私には、24万キロ越えても駆動バッテリーが元気だと言うのは、嬉しい情報です。

      それにしても、補機バッテリーも無交換は凄いですね。

      削除
  2. 再びお邪魔します。最近フロントのブレーキパットを自分で交換した際に、補助バッテリーのマイナス側を外してその時に端子部が腐食気味だったので、軽く磨いてパット交換後に接続したらバッテリーの電圧がナビで確認すると、12.0V程度から12.5Vへアップしてました。勿論、メインシステムを起動させずに補助バッテリーからの電源供給時の話で12月の今でこの電圧なら、未だ大丈夫かな?補助バッテリーの交換にまた迷いが出てきました。

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