WR250Rのサグ出しとプリロード調整

WR250Rのサスペンションは、未舗装路を走るにはちょと硬めかなと思うことがあります。

上級者がモトクロスコースを走る場合は、純正より硬いハードスプリングに交換する場合もあるようですが、林道ユースの多くの一般ライダーは、ソフト側に調整しているケースが多いです。

どういったコースをどの様に走るか、乗り手の技量やフィーリングで最適なサスセッティングが異なるから難しいです。


オンロードを走るバイク乗りの大多数の方にはオフロードバイクのWR250Rのサスペンションは、きっと柔く感じられるでしょう。
しかし、林道を走る楽しさを知った僕には、オンロードの走り易さより林道を気持ち良く走ることに重きを置き、サスペンションをさらに柔らかくセッティングすることにしました。


サスペンションの硬さを変える3つの方法

WR250Rのサスセッティングを変える方法を手軽に行える順に列挙してみます。

1.減衰力調整

WRの前後サスペンションには、圧側と伸側の両方の減衰力が調整出来る機構が備わっています。

これによりサスペンションの動き易さを変えることが出来てフィーリングが変わります。

一般的には、減衰力を弱くすると町乗りの乗り心地が良くなる一方で高速走行ではふわふわした感触になり、反対に減衰力を強くすると追従性が良くなりきびきびした動きになる一方で乗り心地はゴツゴツした感触に変わります。

調整の仕方は、以前書いたこちらの記事です。

2.プリロード調整

WR250Rのリアサスペンションは、スプリングの押さえ量を調整する事ができます。これをプリロード調整またはイニシャル過重の調整といいます。

フロントサスペンションは、残念ながらWRには調整機構がついていないですが、フォークオイルの油面調整で硬さが変わります。

3.スプリング交換

複数のメーカーからソフト~ハード様々な種類のスプリングが販売されています。
プリロードの調整よりも、広い範囲で硬さを変える事ができます。


手軽に行える順に書きましたが、変化が大きいのは逆順になります。

スプリング交換は費用が掛かりますが、減衰力調整とプリロード調整は自分で行えば費用は掛かりませんので、現状に満足していないなら試して見る価値はあります。


リアサスペンションのプリロード調整をしてみる

リアサスペンションのプリロード調整は、サグ出しを行いながらやるのが正しやり方です。

サグ出しとは

乗車時のサスペンションの沈み込み量を理想値に調整する事をサグ出しと言い、0Gから1G'の沈み込み量をホイールトラベルの3分の1にするのがメーカーの設計値です。

ここで、聞きなれないバイク用語を整理すると、

・0Gとは、サスペンションが伸び切った状態。走行時のシーンでは、路面の凹凸でリアが浮いた時やモトクロスコースで飛んでいる状態です。

・1G'とは、1名乗車時の状態。メーカーは体重65kg位のライダー乗車時を1G'と想定しているらしいです。

・ホイールトラベルとは、サスペンションが伸び切った状態(0G)から縮み切った状態までのホイールの稼働距離。
言い方を変えると、リアタイヤが上下の動きに追従出来る限界範囲です。


サグ出しをする場合は、0G、1G'、ホイールトラベルをそれぞれ測定する事になります。

一般的に測定する場所は、アクスルシャフトからリアフェンダーの距離を計ります。


サグ出しをしてみる

WR250Rの場合は、ホイールトラベルはサスペンションのストロークと同じになりますので270mmです。

0Gから1G'の沈み込み量が(270mmの3分の1の)90mmになるようにプリロードを調整するのが理想値です。

0Gを測る時は、リフトスタンドなどリアタイヤを浮かせて、リアサスペンションが伸び切った状態で、アクスルシャフトからリアフェンダーまでの距離を計ります。
スイングアームが自重で下がり切った状態、つまりリアサスペンションが伸び切った状態にする必要が有りますので、スイングアームを支えて持ち上げるタイプのバイクスタンドではではなく、上の写真の様なオフロードバイク用のリフトスタンドが必要です。

測定する場所は、毎回同じ場所を基準にします。僕はスイングアームのアクスルブロックがはまる窪みからメットホルダーまでの距離を測ることにしました。
0Gの時が580mm。


1G'を測る時は、ライダー(自分)が乗車し足を地面から離した状態で、アクスルシャフトからリアフェンダーまでの距離を計ります。一人では、測定出来ないので、誰かに手伝って貰う必要があります。

ちなみに僕は、手伝ってくれる友達がいないので、柱に少し寄りかかってバランスを取りながら、距離を計ります。

バイクの向こう側にあるガレージの柱に肘を当ててバランスを取ります。

1G'の測定も0Gの時同様にアクスルブロックからメットホルダーまでを測ります。
1G'の時が493mm

僕の場合、0Gから1G'の沈み込み量は、580-493=87mmで、理想値の90mmに近い状態でした。

この0Gから1G'の沈み込み量が大きければ、リアサスペンションのプリロードを大きくし、サスの動きを硬くします。反対に沈み込みが浅ければ、リアサスペンションのプリロードを小さくし、サスの動きを柔らかくします。

リアサスペンションのプリロードを変える

サグ出しの結果では、プリロードを調整する必要はないのでしょうが、もっと柔かくしたいのでメーカー設計の理想値を無視してプリロードを変えてみます。

リアサスペンションのスプリング上側アジャスターでプリロードが調整出来ます。
アジャスターを右に回せばスプリングの抑えが緩くなりサスペンションは柔らかくなります。サスペンションを硬くしたい時は反対です。

調整するためには、リアサスペンションを取り外す必要があります。車種によってはリアサスを取り外さなくても調整出来る様ですが、スリムなWRの場合は、手の入る隙間が無いため取り外して調整する必要があります。

先輩方のブログを拝見すると、WR250Rの場合車体左側のバッテリーの下側のリアフレームの隙間からリアサスペンションを取り出していますが、僕のWRは、どうやってもここからは取り出すことが出来ませんでした。
無理に引き抜こうとして、塗装が剥がれてしまいました。

写真はサイドカバーが付いていますがもちろん外してトライしました。
バッテリーの下側にあるEXUpサーボモーターを取り外してあれば隙間が少し広がるので、隙間を通す事が出来たかもしれません。

僕が参考にしたブログの先輩方は、みなさんマフラーを交換していますので、EXUpサーボモーターは付いていない様子でした。

結局、スイングアームを取り外してリアサスペンションを取り出しました。


アジャスターの調整には、フックレンチを使いますが、固着して全く動きません。

マイナスドライバーをアジャスターに当てて、ハンマーで柄をコツコツ叩いて少しずつ動かしました。アジャスターに傷がつくので出来ればやりたくない方法ですが、これでなんとかアジャスターが動く様になりました。


調整前は端からネジ山8つ残してアジャスターが固定されていたのを、端からネジ山4つ残してアジャスターを固定。

車体に組戻し股がって見ると確かに柔らかくなっています。

1G'(1名乗車時)のアクスルブロックからメットホルダーまでの距離を測って見ます。
プリロード調整後の1G'が483mm

(0G)580mm-(1G')483=97mmの沈み込み量になります。

調整前より約10%柔らかい足回りとなりました。

それから嬉しいことに、足付も10mm良くなりました。


今後の調整

様々なエリアを走行してみながら、更にプリロードの調整が必要か見きわめたいと思います。

リアサスのプリロードが決まれば、それに合わせてフロントのプリロードをWR250Rの場合は油面で調整します。
それから減衰力の調整もありますから、やること一杯です。


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